文化コンプレクシティ演習II

担当教官:恒吉 僚子
講義題目(夏学期):教養から見た転換期の日米社会—国際化時代の「人材」観

現在、日本も教育改革の最中であり、今後の教育を方向付ける論議が進行している。教育は次の世代を形作るプロセスであり、社会の争点、方向性などを映し出す鏡ともなる。グローバル化が進む中で、各国は次の世代に必要な資質をどのように育てるかをめぐって議論を繰り広げている。それは、世界の変化、その中での自国の役割の認識、教育における産業主義の問題、国際競争、国民国家のあり方、外国語教育のあり方等、広範な問題の理解につながるものである。

現在進行中の日米の具体的な改革に焦点を当てながら、我々の時代、社会を、比較の視点から具体的に考えたい。以下のようなトピックの可能性があるが、学生と相談の上、決めたいと考えている。

  1. 外国語教育の改革(コミュニケーション能力の重視
  2. 初等教育での英語学習の意味、ESL・・・)
  3. 国際理解教育
  4. 情報化への対応
  5. 才能教育(飛び入学、ギフテッド教育、国際競争力・・・)
  6. 歴史の再定義
  7. 暴力と管理(conflict resolution、所持品検査・・・)

講義題目(冬学期):教育から見た転換期の日本—少数文化による挑戦

教育は、次世代を形作るプロセスとして、社会の様々な矛盾、争点、願望などを映し出す。60年代以降、アメリカでは少数者による既存の社会の仕組みへの問いかけが、教育現場でも繰り広げられ、多文化教育などの流れとなって教室を変えてきた。

今日、日本でも様々な教育の領域で、教育(その延長としての社会)の支配的な論理を変えようとする動きが出ている。

一つの社会分析の視点として、教育における多文化化をめぐる具体的な動き(例 ジェンダー、民族)を追いながら、社会の反映としての学校を動かす論理や構造のあり方について示唆を得る。