比較ナラトロジーII

担当教官:伊藤 徳也
講義題目:林語堂の文明観

林語堂(Lin Yutang/1895-1976)は中国で1934年に巻き起こった小品文ブームの仕掛人であるが、同時に、数年後「紅楼夢」の語りを髣髴とさせる小説「北京好日」Moment in Peking を英語で書いた人物でもある。小品文の「語録体」が近代的な小説の文体の基礎になるという彼の主張を、ややねじれた形(中国語で小説は書いていない)ではあるが、自身で証明してみせたことになる。そんな彼の文体論の基礎にあったと思われる文明観あるいは東西比較文化論をゼミ形式で検討していく。彼の中文著作、英文著作、日中の訳本を細かく比較対照していく作業が中心になる。