神話と文化II

担当教官:岡部 雄三
講義題目:パラケルスス研究

宗教改革者ルターとほぼ同時代に活躍した、ルネサンス的万能人のひとりであるパラケルスス(1493-1541)の多面的な業績をとりあげ、当時の時代精神を検証しながら彼の思想のどこに画期的な新しさがあったのかを参加者とともに考えていきます。遅れてきた錬金術師などとも評価される彼ですが、一方たとえば化学療法の分野でなされた彼の医学的業績は植物中心の医薬を根本から変革するものでした。いわば過去を見つめながら後ろ向きに未来へと後ずさりしていく彼独特の精神の在り方は、死後もヨーロッパに強い影響力を各分野にわたって及ぼしていきます。主なテーマとしては、妖精論、温泉論、錬金術的医学基礎論、魔術論、予言論、聖書解釈論などがさしあたり考えられますが、具体的な内容については開講時に参加者と相談のうえ決めます。使用するテキストは、主に独語原文となりますが、できうるかぎり英訳、日本語訳も用意する予定です。ヨーロッパ思想史におけるいわゆる<第二の伝統>に関心をもつ方々の参加を歓迎します。