担当教官:義江 彰夫
講義題目:「扶桑略記」を通して見る東アジアの中の日本
「扶桑略記」は平安時代末に編纂された編年体の日本通史である。他の類書にない、中国・朝鮮など東アジア諸民族との交流を伝える記事や、社会の裏面をリアルに語る民俗誌的記事を多く載せた異色の本である。又、本書の記事には出典を確認できる記事がかなりあるが、原典に引き当てるとかなりの差異が認められ、原話の変容の経緯を探れる格好のテキストでもある。本書は日本型漢文を解読する教材としても好適。今年度は、後一条天皇長元5(1032)年から。報告者が担当個所を音読・現代語訳・出典確認・論点提起をし、それを踏まえて質疑応答・討論というかたちですすめる。速読せず各記事を丁寧に吟味したい。