比較文学比較文化演習III

担当教官:今橋映子
講義題目(夏学期):展覧会カタログの現在 II

展覧会カタログは、芸術系の研究をする際に出発点となるような情報満載の基本的文献でありながら、「書籍」でないため市場には流通しない特殊な存在でもある。また近年の越境する学問の動向を受けて企画そのものがカタログの価値を左右し、それがまた私たち研究と密接な関係をもっている。本授業では、参加者の専門を考慮しながら、カタログの制作から流通、収集整理、保存、批評にまで至るプロセスを再確認する。同時にカタログをいかに「読む」のかについて、詳細に検討する。学期末には関係者を招いてシンポジウムを開催する予定。初回の授業に必ず出席すること。

テクスト:今橋映子編著『展覧会カタログの愉しみ』(5月刊行予定)


講義題目(冬学期):都市と郊外の比較文化論

1990年代以降いわゆる〈都市論〉は、「郊外」を視野に入れなければもはや成立しない転換期に差し掛かってきている。本授業では、1970年代以降の古典的テクストから順次読み始めて、〈都市論〉の基本文献を熟知することを第1の目的とし、次に〈郊外〉をめぐる英米/大陸文化の比較研究を経て、東京郊外の性格を明確にしていく。その際には一次文献として文学・映画・写真・漫画などを扱い、クロスジャンル的な手法を取ることになろう。テーマの性格上、参加者の専門は問わないが、この際徹底的に都市論文献を読み直してみようという熱意を期待する。授業はゼミ形式。各自の発表内容は相談の上、決定する。初回の授業に必ず出席すること。

テクスト:初回に指示する。