担当教員:ロバート キャンベル
講義題目:幕末・明治の「繁昌記」読解
今年は、寺門静軒の『江戸繁昌記』(1932-36)にはじまって明治前半に空前の流行を巻き起こしたと言われる繁昌記モノを、いくつかのテーマに即して、横断的に読んでみることにしたい。数十種類もあるタイトルは漢文に和文、「繁昌」する地域によって区々だが、国内ネタが多いのは当然として上海・ロンドン・パリなど海外の都市形成と風俗に取材した面白い変種もいくつか挙げられる。「繁昌記」とは、風刺と文飾と「事実」描写が錯綜する、息の長い文学実験の「場」でもあった。繁昌の条件とは何か、人は何故「繁昌」を読みたがるのか、等々について検証したい。
授業は通年のつもりで進めるが、冬学期からの参加も可。資料は主としてプリントを使用するが、あらかじめ『江戸繁昌記』(『新日本古典文学大系』巻100)と東京新繁昌記(『明治文学全集』巻4)、できれば前田愛氏の一連の研究にも目を通してください。