超域文化科学特別講義II

担当教員:徳井 淑子
講義題目:フランス中世の服飾とフランス近代の中世趣味

衣服は時代や地域に特徴的な人々の感性や生活意識、さらに社会のシステムにいたるまで饒舌に語る。着衣の文化をいかに読み解くべきか、本講義ではフランスの中世と、フランス近代の中世趣味から事例をあげ、調査の方法とテーマの可能性について考えてみる。
中世については、文学作品・写本挿絵・会計記録などから色彩の意味や文様の意想、あるいは儀礼・儀式における服飾の象徴性を示し、文書・図像資料の扱いかたとテーマとしての展開を検討する。また近代の中世趣味については、ロマン主義時代のファッションをとりあげ、服飾と文学・美術・演劇との相関を検討する。とりあげる事例はそれぞれ、テーマの視点も調査の方法も異なるが、服飾研究の多様性と服飾文化の厚みを知ってもらうために、できるだけ事例を挙げたい。

参考著:拙著『服飾の中世』勁草書房 1995年;拙訳『中世衣生活誌-日常風景から想像世界まで』勁草書房 2000年