比較モダニティ論II

担当教員:北川 東子
講義題目:貨幣経済とグローバル化の哲学——ジンメル『貨幣の哲学』

ジンメル『貨幣の哲学』は、『大都会と精神生活』との関連で、これまで多く近代化の社会心理学的な分析として理解されてきた(フリスビー)。しかし、ジンメルはシュモラーと共同研究や、メンガーをはじめとした当時の経済理論についての知識をもとに『貨幣の哲学』を構想したのである。最近のドイツにおける経済学や経済社会学における新しいジンメル解釈を通して、グローバル化する経済社会についての文化論的なアプローチという『貨幣の哲学』の性格が明らかになってきた。
この演習では、こうしたジンメルの新しい解釈を土台に『貨幣の哲学』を読み、「所有」「交換」などの基本的・原理的な問題について文化哲学的に分析する可能性を考える。

英訳での参加も認める。

テキスト:Georg Sinmmel, Philosophie des Geldes, Suhrkamp.