超域文化科学特別講義II

担当教員:中村 和恵
講義題目:ローカル・セオリー:ポスト・ポストコロニアル論争ツアー

不均衡な力の衝突現場に立会いながら、しばしば観光客のようにその現場を消費してしまう超域文化論の土俵で、いまなにが議論されるべきなのか、だれが議論できるのか。ポスト・ポストコロニアル・セオリーあるいはポスト・セオリーとさえ呼べそうな議論が、特有の「事情」を抱えた場所(地理的な、身体的な、民族的な)から噴出している現在、こうした疑問を呈し、それに答えようとする論争や、論争についての論文をいくつか選んで読んでみる。
「セオリーの限界」について、まずセオリストたち自身の分析、そして同じ問題にかなり異なった調子で接近したアフリカ、南アメリカ、インドなどからの発言、さらに「出来の悪い」黒人映画についてのラシュディとホールの論争、マオリ文学賞をめぐる騒動や先住民絵画詐欺事件における「先住民」の定義、人権と人種とセクシュアリティについてのジジェク論文、等を予定。詳細は参加者の人数・関心によって開始後に調整する(フィクション等も考慮に入れる)。
使用テキストは日本語と英語。その他の言語はどちらかの翻訳を用いる。授業中発表と参加状況を成績の基準とする。