比較形象論I

担当教員:今橋 映子
講義題目:美術批評と社会

昨年度に引き続き、美術批評とは何かについて総体的に再考する。今年からの参加でまったく差し支えないが、特別の事情がない限り、通年での受講が条件となる。
1)今年夏学期は東京において、印象派およびポスト印象派関連の展覧会が立て続けに開かれることに連動して、「大正期における美術批評の転換点」について詳細に考察し、
2)冬学期は、各自研究テーマと関連して、美術批評と社会との関係を見定めることを、今年度の課題としたい。
3)なお本授業においては「美術」を、写真、映画、工芸、建築なども含む広義で捉え、参加者の専門分野に対応したいと考えている。

授業では、以下のような話題を取り上げる。ただし参加者によって変わる可能性がある。

1)ボードレールと近代フランス美術批評(講義)
2)近代日本における美術批評の成立と展開(講義)
3)「後期印象派」とは何だったのかーー大正期美術批評の転換点(関連文献を参加者が分析・発表)
4)美術批評と文化行政(関連文献を参加者が収集、分析)
5)美術批評と社会(個別発表)

駒場キャンパスには、数千冊の展覧会カタログを蔵するカタログ資料室が美術博物館にある。本授業ではこの資料室も実践的に活用しつつ、上記の問題について考える。

授業は、講義と参加者の発表および討議 を組み合わせたゼミ形式を取る。参加者には、とりわけ予備知識を必要とされないが、共通テクストの分析に積極的に参加することが求められる。また、夏休み中に冬学期に予定される(各自の専門や関心にもとづく)個別発表の準備をすることになろう。