谷口 洋 TANIGUCHI Hiroshi
連絡先
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生年・出身地
1965年生まれ 兵庫県出身
役職
教授
取得学位
博士(文学)
研究主題・分野
中国文学(辞賦文学、『史記』の物語論)、中国古代学(古代文献と口頭伝承)、東洋古典学(東アジアの古典観)
研究・教育プログラムとの関係
比較日本研究、比較文学
所属学会
日本中国学会、東方学会、六朝学術学会、全国漢文教育学会、中国辞賦学会、中国屈原学会
主要業績
- 主要共著
- 『楚辞と楚文化の総合的研究』(大野圭介主編、汲古書院、2014年)「前漢「郊祀歌」十九章と「九歌」」
- 『「偽」なるものの「射程」』(千本英史編、勉誠出版「アジア遊学」161、2013年)「中国近代にとって「偽書」とは何か―「偽書」と「疑古」の二十世紀」
- 『入門講座 白川静の世界 Ⅱ 文学』(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所編、平凡社、2009年)「白川静の『楚辞』論」
- 『六朝詩人伝』(興膳宏編、汲古書院、2000年)
- 主要論文
- 「早期辞賦与山川祭祀」(2016賦学国際学術研討会論輯2、2016年)
- 「「作者」宋玉の誕生-漢魏六朝における「作者」意識」(六朝学術学会報16、2015年)
- 「西漢辞賦的流伝与伝説」(第九届漢代文学与思想国際学術研討会論文集、2014年)
- 「『史記』司馬相如列伝の一面―同時代人は相如をどう語ったか」(叙説41、2014年)
主要担当授業題目
- 大学院
- 「漢文読解の実践を通じて、東アジア的思考の基層を考える」(明治知識人の漢文著作)
- 学部3・4年生向け
- 「楚辞「天問」の精読と研究」
- 「『史記』の読書史:日本における漢籍受容の一例として」
- 「『詩経』国風:中国古代歌謡を日本の先人のように読む」
- 学部1・2年生向け
- 「漢の武帝のものがたり―中国物語史の転折点―」
- 「日本文化にとって「漢文」とは何か」
- 初年次ゼミナール文科「用済みになった高校の漢文教科書を、大学生の目でもう一度ながめてみる」
自己紹介
古代の文学は、歌謡や神話に限られるわけではありません。『論語』や『史記』のような思想・歴史の文献も、ことば自体が文学としての力を持って迫ってきます。その力の根源は、それがもともと口頭で語られていたところにあるのでしょう。『論語』は孔子の語りを写し伝えようとしたのであり、『史記』もその材料の多くを口頭の伝承に負っていたようです。ところが、たとえば「鴻門の会」について考え始めると、どこまでが事実として「信用」できるのか、誰があのような生彩ある話を編み上げたのか、司馬遷の果たした役割とは何かなどと疑問は尽きず、やがて作者とは何か、作品とは何か、しまいには文学とは何かなどと、どんどん泥沼にはまってゆきます。荘子は「吾 将に塗中(泥の中)に尾を曳かんとす」と言いましたが、実は泥んこ遊びはそれ自体が楽しいと、子どもたちはみんな知っています。後世の概念で境界線を引きたがるうちは、まだまだ「はまった」とはいえないのでしょう。