担当教官:竹内 信夫
講義題目:信仰・聖地・巡礼—文化社会論の視点から—
信仰は必ずしも個人の内面にのみ存するものではない。むしろ社会生活の規範的原理として外在的に現前する信仰がある。近代個人主義の基盤となった内面化された信仰は、むしろ、そのような外在的信仰との拮抗関係のなかで歴史的に形成された特殊形態と考えなければならない。すべての信仰は、個人を集団生活へと誘い、個人をいわば社会化する。その社会的誘引の媒介となり、焦点ともなるものが、「聖なるものの現前する場」としての聖地である。本講義では以上のような視点から、主として日本の聖地の在り様を巡礼との関係で考えてみる。能動的に問題を考えてもらうために、本講義には「巡礼実習」(仮称)を組み込みたい。特に、四国八十八所、西国・板東の三十三所観音霊場のような所謂「円環型」の巡礼は日本に固有のものとされるが、その円環構造を具体的に体験してもらう予定である。
成績評価は授業への出席と実習レポートによって行なう。授業計画は最初の授業時に示す。