比較文学論I

担当教員:伊東 貴之
講義題目:漢文文献読解入門

日本の伝統的な文化遺産である訓読の技法を用いて、中国語履修者でなくとも、オーソドックスな中国古典を中心とする漢文文献の読解が可能となるよう、基礎的なトレーニングを行い、併せて経学をその根幹とする中国古典学、漢文学を学ぶための道案内を果たしたい。テキストとしては、朱子学の集大成者・朱熹(1130〜1200)が『論語』に注釈を施した『論語集注』を用いる。同書は、後に科挙受験のための標準的なテキストとして広く通行し、中国はもとより、前近代の朝鮮や日本においても、最もよく読まれた『論語』の注釈書である。また、朱子学の立場から整合的な『論語』解釈を試みた書物でもあり、その意味でも多大な影響力を有した。本講義は、その点で、取り分け、儒教入門、朱子学入門としての役割も果たすものとしたい。授業は、ほぼ演習形式で進めるので、相応の予習が必須である。

教科書及び参考文献:テキストには、簡野道明補注『補注論語集注』(明治書院)を用い、参考文献は適宜、指示する。