担当教員:義江 彰夫
講義題目:藤原明衡と大江匡房
藤原明衡は11世紀半ばを中心に、大江匡房は11世紀後半から12世紀初頭にかけて、朝廷を支える文人官僚として抜群の活躍をした貴族である。しかし、彼等はともに当時の社会の裏面や、当時生起してきた様々な身分・文化現象に強い関心を抱き、『新猿楽記』(藤原明衡)『遊女記』・『傀儡子記』・『洛陽田楽記』・『狐媚記』(大江匡房)等を書き残した。今学期はこれらのテキストを中心に、彼等の文人官僚としての姿が分かる文章を加えて読み、古代から中世へ展開する時代に、社会の裏面から生まれてくる様々な身分・文化現象・東アジア世界との関係などの実態、それらと王朝世界の建前とのギャップ、それらをとおして浮かび上がる時代の全体像、そして後世に与えた影響などについて検討する。また、これらのテキストは和風漢文で書かれているので、あわせて和風漢文訓読を身に付けることをめざす。なお、以上の理由から授業はゼミに近い形式となる。
教科書及び参考文献:教科書は当方で作成する。参考文献は『古代政治社会思想』(『日本思想大系』8、岩波書店)