比較歴史世界論I

担当教員:川村 信三
講義題目:16・17世紀日欧文化交渉史

本講義の中心課題は「日欧(東西)文化交渉史」・「キリシタン史」という歴史事項を考察することである。方法としては伝統的史学研究区分(日本史・東洋史・西洋史)では捉えにくい超領域的視野ないしはグローバル・ヒストリーの観点を導入したいと思う。その具体例として最近提唱されている「接続された歴史」(Connected Histories)や「文化的混淆(性)」(Cultural Hybridization)の概念をとり入れる。日本における文化交流の問題を、他文化の歴史、特にヨーロッパおよびアジアとの連続と非連続の観点からとらえると、従来にはなかった日本理解が可能になるのではないかと考えるからである。具体的には、16・17世紀の日欧交渉の諸事象(大航海時代とイエズス会宣教、農村における宗教共同体のルーツ、日本の既存宗教とキリスト教の交差の問題、ルイス・フロイスの著作、アレッサンドロ・ヴァリニャーノの「順応」方針、天正遣欧使節の意義、秀吉と伴天連追放令など)をとりあげ、歴史における人知交流、その受容と拒絶の過程、および、現代における国際交流、民族間の心性差などのテーマにも討論を広げたい。

教科書及び参考文献