比較文学論I

担当教員:岩本 憲司
講義題目:中国古典解釈学入門

中国の古典(儒教の経典)に関する、創造的解釈に基づく注述を中心とする諸々の知的営為を、「経学」と呼ぶ。この様な営為は漢代以来、二千年近くにもわたって行なわれ、その成果は基本となる「経」、その解釈である「伝」、そのまた解釈である「注」、そのまた解釈である「疏」と、多層をなして現代に伝えられている。本講は、実際に原典を精読することを通じて、この様な複雑な経学の世界の一端にふれることを目的とする。つまり、名づけて経学入門、あるいは中国古典解釈学入門という。なお、テキストとする具体的な原典については、とりあえず『春秋』に関するもの、つまり、「左近伝注疏」「公羊伝注疏」及び「穀梁伝注疏」を考えている。