担当教員:本間 次彦
講義題目:帝政中国末期の散文世界
この授業では、1930年代の後半に出版された『晩清文選』を取りあげて、そこに収録された作品を選読することにより、帝政中国末期の散文世界の多様性を再構成することを目ざす。
『晩清文選』の特徴としては、以下の三点があげられる。
1. アヘン戦争前後の時期から辛亥革命直前にいたるまでの、清朝の激動を記録する作品が収録されていること。
2. 個々の作者の政治的立場は、改良派・改革派・革命派から保守派にいたるまで、きわめて多種多様であること。
3. 典型的な文語文から、口語文への過渡的な文体にいたるまで、個々の作品の文章表現がきわめてヴァラエティに富んでいること。
これらの特徴をもつ散文作品を読むことを通じて、口語文が一般化する直前の数十年間に、何がどのように語られていたのかについて、注意ぶかく読み取っていきたい。それは同時に、帝政中国にとっても最後の数十年間において、何がどのように経験されていたのかを追体験することでもある。
人数が比較的少数の場合には、演習形式で授業を進める。そうでない場合でも、受講生には毎回の授業で一定の役割をになってもらう。