哲学概論

担当教員:信原 幸弘
講義題目:意思決定と情動

情動は合理的な意思決定を妨げるものとして捉えられやすい。合理的に意思決定を行うためには、できるだけ情動の影響を排して純粋に理性的に熟慮すべきだというわけである。しかし、最近の脳科学の知見によれば、適切な情動がなければ、かえって合理的な意思決定ができないことが明らかにされつつある。情動はたんなる脳内の過程ではなく、身体の情動的な反応を含む過程である。情動が合理的な意思決定に関与するということは、脳だけではなく、身体も合理的な意思決定に関与するということである。情動ないし身体が意思決定においてどのような役割を果たすのかを、英語の文献を読みながら考察する。