比較芸術論演習

担当教員:今橋 映子
講義題目:プレヴェール精読

昨年、アニメーター高畑勲『パロール』全訳(ぴあ)が刊行されて、20世紀フランスの詩人プレヴェールの世界は、一般読書界でもにわかに身近なものとなってきた。しかしプレヴェールは、甘いシャンソン詩人のイメージとは裏腹に、強烈な皮肉やイロニー、ことば遊びを充満させる難解な詩を書いて、究極的には翻訳不可能な世界を構築している詩人でもある。

本授業では、近年整備されたプレイヤード版全集の本文と解題にもとづき、プレヴェールの様々な系統、語学的レベルの詩を選んで(時には敢えて邦訳との照合・検討も含めて)精読し、フランス現代詩の魅力を再確認するとともに、詩を緻密に読む訓練をする。

それと同時に、映画、演劇、絵画、写真、シャンソンなど多くのジャンルを易々と往き来したプレヴェールの再評価を試み、特に絵画や写真、コラージュ制作に関わりの深い詩作品を選んで、比較芸術論の観点から、それを分析する。参加者には特にプレヴェールやフランス詩法の予備知識を求めないが、フランス語初級文法を終えていることを条件とする。また、参加者の分担発表を授業の中心とするので、出席は重視される。