比較文化基礎論II

担当教員:今橋 映子
講義題目:〈東京郊外〉の比較文化論

1990年代以降、いわゆる都市論としての〈東京〉は、その考察の軸を旧江戸の圏内から、〈郊外〉へと急速に移さざるを得ない様相を帯びてきた。〈郊外〉は良くも悪くも、現代の私たちの「人間的条件」を決定し運命付ける重要な要因となっている。本講義では都市論の基本を踏まえつつ、ヨーロッパ大陸と英米文化圏で明確な対照を見せる〈郊外〉のあり方を参照した上で、その影響を必然的に受けつつ独自の様相を見せる東京郊外の性格を再考する。以下の教科書を用いて都市論の基本を押さえる他、中沢新一などの最新文献も加える。
同時に、島田雅彦(文学)、ホンマタカシ(写真)、岡崎京子(漫画)などにも材料を求め、比較芸術論(クロスジャンル)的手法を用いる予定。授業は講義形式で行われるが、自らの関心に引き付けた上で、都市・東京・郊外・・・などについてテーマを定め、最終レポートにまとめることを求められる。出席重視。参加希望者初回の授業に必ず出席すること。

【教科書】今橋映子編著『リーディングズ 都市と郊外——比較文化論への通路』(NTT出版、2004年)