比較芸術論演習II(「フランス表象芸術論」と合併授業)

担当教員:今橋 映子
講義題目:1920年代パリと日本

1920年代パリは従来、「祝祭と狂乱の日々」と謳われ、ヘミングウェイやフィッツジェラルドの小説に代表されるような、あるいはエコール・ド・パリの画家たちに代表されるような、華やかで憂愁を帯びたノスタルジックな時代とされてきた。アメリカ人同様、日本人画家たちが多数滞在したのもこの時代である。けれども同時にそこでは多くの神話も作られてきたことだろう。本授業では比較芸術論の基礎的枠組みを把握するために、具体的対象として1920年代パリを選び、日本人作家および画家との関係を中心に、過去の様々な文献を徹底検索し、読み込む作業を共同でおこなう。

  1. 1920年代パリ美術界の語られ方を、複眼的に見る。フランス語学習者のために、当時の文献を具体的に読む。
  2. 1920年代パリと日本人画家たちに関する展覧会:従来の展開を回顧する。また藤田嗣治など個人画家を取り上げる。
  3. 木下杢太郎(医師・詩人・作家)の文学エッセイを読む。

というような作業を、各自の関心に合わせて分担することとする。同時に展覧会カタログの意義、探索の仕方、分析方法などについても学ぶ予定。

*参加者には、フランス語学習歴を必須として問わない。比較芸術論的議論に関心のある主体的参加者なら歓迎する。

*教科書:『コレクションに見る画家たちのパリ』展カタログ(ポーラ美術館、2003)=購入方法は初回に指示する。
*参考書等は、授業初回で詳細に指示する。