比較芸術論I

担当教員:三浦 篤
講義題目:近代絵画と鉄道

産業革命以後の近代美術とテクノロジーとの関係を論じたい。対象となるのは、蒸気機関を利用した「鉄道」と絵画との関係である。鉄道は19世紀最大の文明の利器であり、人々の生活や感性に甚大な影響を与え、空間と時間の感覚を根本的に変容させた。絵画との関連性も無視し得ないことは、ターナーの《雨、蒸気、スピード》やモネの《サン=ラザール駅連作》のように、まさしく鉄道が近代絵画史の重要作品のテーマとなっていることからも想像されよう。蒸気機関車や駅、線路や鉄橋、さらには車内やプラットフォームなどは、画家たちに近代にふさわしい主題、モチーフ、場面を提供し、ユニークなイメージを多数描かせた。西洋のみならず日本の近代絵画史も視野に収めつつ主要作品をたどり、主題としての終焉も含めてその歴史的な意味を考察したい。

第1回:イントロダクション
第2回〜4回:19イギリス絵画
第5回〜7回:19フランス絵画
第8回〜9回:世紀末から20世紀へ
第10回:アメリカ絵画
第11回〜12回:日本近代絵画