比較文化基礎論I

担当教員:ヘルマン ゴチェフスキ
講義題目:古典、古典化、古典主義、復古

過去の作品・様式・時代などを「古典」(Klassik)と規定することがある。その規定は多くの場合自分の時代への疑問、様式の批判と作品の否定につながるのだが、作品の創作者自身が自分のコンセプトを裏付けるために古典の概念を使う場合もある。ギリシャ文学にはホメロスのエポスなどに対してすでに一種 類の古典主義が見られるが、ヨーロッパの文化で「古典化」のもっとも典型的な例—いわゆる「古典化の古典」—は古代ギリシャや古代ローマの文化に対して、後の時代からの見方である。しかし例えばイギリス文学のShakespeare、音楽のウィーン古典派などのように、それ以外の典型的な例も数多く挙げられる。そして少し軽い意味で、芸術史の重要な転換点を代表する作品を、その限られた範囲でKlassikerと称することもある。

この授業では古典と見なされる作品そのものというより、あるものを古典と見なすこと自体の文化的な意義を考えていきたいと思う。最初に古典という概念についての基礎的な研究文献を皆で読み、あとはさまざまな時代や地域とさまざまな文化現象(たとえば文学、音楽、絵画、建築など)のそれぞれの古典の考え方についての学生発表を中心に授業を進めたいと思う。