比較思想論II

担当教員:梶谷 真司
講義題目:民衆的合理性の意義・機能・構造

合理性という言葉で第一に思い浮かぶのは、学者や知識人のような専門家が生み出した理論的な知識に根ざしたものであろう。しかし普通の人たちは生活実践の中で別の原理に従って行動していることが多い。これは、専門家たちから見れば、素朴で単純な発想で、むしろ不合理だとされるが、実際には特有の合理性を備えている。この「民衆的合理性」とでも言うべきものはどのようなもので、私たちが生きる社会や人生の中で、どんな意義をもち、どう作用しているのか。またそれは専門的合理性とどのように関わりあっているのか。私たちが現実を生きるときに依拠するこうした合理性のあり方を、誕生、成長、健康、病、死など、人生のさまざまな具体的局面に即して考察していく。