担当教員:井上 健
講義題目:Edgar Poeと批評方法論
文学理論や批評方法論は、それを学べばただちに、文学の何たるかが明らかになってくれるような便利な道具では決してない。多重な層からなる複合体である文学作品を、単一の方法論で切ってみても、せいぜい、作品のそれまで見えにくかった一面が開示されるにすぎないからである。だが、ひとまず特定の理論や方法論に依拠してテクストを読んでみることが、それまでとは異なる視点で作品を読み解く道筋を指し示してくれることもまた事実である。本講義では、主要な批評概念や方法論について概観した後、Edgar Poeの短篇小説を素材にして、その有効性や限界を検証してみたい。Poeの作品が何故、次々に新たな批評方法論の標的にされてきたのかという問題もあわせて考えてみたい。
まず、教科書を使用して、現代批評の諸問題や主要な批評方法論について概観する。その後、Edgar Poeの以下の作品を取り上げて、Poeテクスト読解の多様な可能性を確認した上で、それらを統合する道を探りたい。
*The Fall of House of Usher
*William Wilson
*The Murders in the Rue Morgue
*The Gold-Bug
*The Black Cat
*The Facts in the Case of M. Valdemar
*The Domain of Arnheim