担当教員:三浦 篤
講義題目:日本近代洋画史と19世紀フランス絵画
明治維新以降の日本近代洋画史をフランス美術との関係において見直す。1878年のパリ万国博覧会開催を境に、パリに留学して油彩画を習得しようとする画家たちが出現する。後に明治洋画史の中核を形成する彼らは、異国の地で誰に、何を学び、何を日本に持ち帰ろうとしたのか。ジェロームやボナに就いた山本芳翠、五姓田義松など初期の渡航画家たち、次いでラファエル・コランに師事した黒田清輝、久米桂一郎、岡田三郎助、和田英作ら白馬会系の画家たち、さらにはジャン=ポール・ローランスに師事した鹿子木孟郎、中村不折など太平洋画会系の画家たち等々を取り上げて、それぞれの場合を検討してみたい。その際、彼らの師となった19世紀後半のフランス・アカデミスムの画家たちの美学や作品を把握することが重要な前提となるが、その後の印象派の受容についても考察し、日本人画家が19世紀のフランス絵画を摂取した様態を総合的に探ってみたい。