比較芸術論Ⅱ

担当教員:金沢 百枝
講義題目:キリスト教図像学演習

西洋絵画においてキリスト教美術は、19世紀後半に絵画のジャンル・ヒエラルキーが崩壊するまで、最も大きな主題でありつづけた。現代美術にもその残響は残る。その起源を辿ると、キリスト教美術は近代的な意味での「芸術」ではなく、宗教的な文脈での「実用品」として機能してきた。その解読には絵画の機能や役割、社会的背景など、文献操作/図像操作のディシプリンを必要とする。
本講義では、キリスト教図像学を歴史的・文化的・社会的背景を問い直し、履修者のキリスト教美術の読解力を育むことを目的とする。具体的には履修者の興味に柔軟に対応しつつ、キリスト教美術の成り立ち、図像構成やその仕組み、用途や機能について、近年の研究動向をふまえながら論じ、最終的にはある作品の解釈をめぐって履修者全員で討議したい。