比較芸術論Ⅰ

担当教員:今橋 映子
講義題目:芸術と政治ーー読みの戦略の確立に向けて

【芸術と政治ーー読みの戦略の確立に向けて】

 今年度は夏・冬学期の1年間を通じて、上記テーマに取り組む。「芸術と政治」は基本的に、何か一つの話題に限定されるものでなく、例えば、芸術家と同時代政治状況、テクストの政治学、文壇や画壇と〈政治〉、政治小説や歴史画など、参加者の研究テーマや関心に応じて多彩に展開しうるものであろう。ただし授業が拡散しかねない状況を回避するため、今年度は「芸術と政治」を人文研究で扱う方法の根底に、テクスト(文字、映像)をいかに読むかという戦略を考究する。
 夏学期には共通テーマ、冬学期には自由テーマで、以下のように進行させることとする。
◆夏学期◆「大逆事件をめぐる文学表現を読む」
 共通テクスト2冊(別記参照)は、日本近代における一大冤罪事件ーー大逆事件(1910年)をめぐる文学および思想テクストをきわめて精緻な思考で編んだ、優れたアンソロジーである。これを用いて、言論抑圧の時代に、それに抗して様々に複雑なテクストを書いた作家たちを如何に読み解くべきであるか、徹底的な読解と議論を施したい。参加者には、大逆事件についての予備知識は、基本必要とされない。