比較文化論Ⅰ

担当教員:今橋 映子
講義題目:「芸術と社会」ーー比較芸術論からのアプローチ

昨年度に検討した「芸術と政治」に続き、今年度は「芸術と社会」について考える。
ある意味漠然としたこのテーマに取り組むために、緻密な作品分析から出発する比較芸術論の手法を最大限活かす。さらに「芸術と社会」への隣接領域のアプローチ ーー芸術社会学、受容美学、文化政策学、文化経済学、アートマネジメント研究 ーーなどを参照し、学問動向を把握した上で(以上夏学期)、自分自身の研究課題に取り組むこととする(冬学期の授業科目「比較芸術論Ⅱ」)。

参加者は昨年度の授業を受講していることを条件としない。専門領域にかかわらず、このテーマに関心のある、かつ議論や発表に熱心な参加者を期待する。
本授業では、視覚芸術が理論の中心とはなるが、その他の芸術も勿論検討対象になる。
夏学期には共通テーマ、冬学期には自由テーマで、以下のように進行させることとする。

◆夏学期◆「芸術と社会」へのアプローチ

1)比較芸術論(また美術史学)の基礎である「作品評釈」(description / explication de texte)を学び、実際に書く。【講義および実習】
2)視覚芸術研究において「社会」的要素の解析は如何なる意味をもっているのか。【講義】
3)隣接領域のアプローチ =とりわけ、今年度はアートマネジメント研究の領野を検討する。【講義および発表】
4)アートマネジメント史の試み:明治大正期美術批評家・岩村透の戦略【講義】
5)「美術と社会」関連論文の論文分析【発表】

  ◆この授業は大学院と共通であるが、後期課程の学生も同等に参加できるよう配慮するため、積極的な参加を期待する。夏学期だけの受講は可能である。