芸術作品分析法Ⅳ

担当教員:三浦 篤
講義題目:A・プルースト「マネの思い出」を読む

画家エドゥアール・マネの中学時代以来の友人であるアントナン・プルーストは、第3共和制期に美術大臣として美術行政に携わり、マネのレジヨン・ドヌール勲章受勲にも尽力した人物である。そのプルーストが1897年に雑誌『ルヴュ・ブランシュ』に発表したマネを回想する文章(Antonin Proust, "Souvenirs sur Manet", La Revue Blanche , fevrier-avril, 1897)は、マネに関する最も重要な同時代文献であり、興味深いマネの発言やエピソードを伝えているので、ゼミ参加者とともに詳しく読解していきたい。プルーストの死後、1913年にその秘書であったA・バルテレミーが、残された資料などを使って増補改訂して書籍を刊行しているが(Antonin Proust, Edouard Manet - Souvenirs, publié par A. Barthélèmy, Paris, H. Laurens, 1913)、2つの版の間にはかなりの異同がある点も注意が必要である。後者に関しては独訳からの日本語訳が刊行されている(A・プルースト『マネの想い出』野村太郎訳、美術公論社、1983年)。なお、プルーストは美術行政に関する本を書き、美術批評も執筆しているので、時間が許せば、その側面も検討してみたい。