比較芸術論Ⅰ

担当教員:三浦 篤
講義題目:西洋美術史学の方法

視覚的な造形作品を研究する学問としての美術史学は、他の人文諸学と同じく西洋近代において形成されたが、それ以前にも祖型にあたる美術文献が古代ギリシアこの方多数存在する。この授業では西洋美術史学の方法について、広い視野からその歴史を簡略にたどった後で、ひとつの系譜について探求する。20世紀アメリカを代表する美術史家メイヤー・シャピロは、美術史のメソッドを根底から問い直しつつ優れた成果を挙げた人物だが、その方法的態度はダニエル・アラスやジャン=クロード・レーベンシュテインなどフランスの前衛的な美術史研究者に大きな刺激を与えている。その系譜はまた「メタ・イメージとパレルゴン」という問題系に関わるヴィクトール・ストイキツァなど他の研究者の仕事とも呼応しており、現代美術史学の重要な潮流として把握することができるのである。