比較文化論Ⅱ

担当教員:伊藤 徳也
講義題目:楊逸(ヤンイー)2008年芥川賞受賞の周辺:日中比較現代文化史研究

中国で生まれ育ち日本語を外国語として学んだ中国人作家楊逸(ヤンイー)が、8年前の2008年、日本の芥川賞を受賞して話題になったことがある。折しも北京オリンピック開催を控えた時期であり、また、受賞作が1989年のいわゆる天安門六四事件を扱った作品だったということもあり、なにかと社会的政治的事情と関連づけられたが、文学固有の問題としても、彼女の受賞は作品評価の基準や日本語表現に関わるいくつかの課題を浮かび上がらせた。
 13回の授業でできることは限られているが、こうした諸点を日本と中国の20世紀以降の文学(日本なら日本自然主義以降、中国なら文学革命以降)の歴史を比較対照するパースペクティブの中に置いて検討してみたい。