比較芸術論Ⅱ

担当教員:三浦 篤
講義題目:パリ・オペラ座をめぐる諸芸術

パリのオペラ座という文化的なトポスを研究対象とし、美術(建築、彫刻、絵画)、舞台芸術(バレエ、オペラ)、音楽、文学、写真、映画、ミュージカルなどが、どのような形で関わっていったのかを具体的に分析していく。建築物としてのオペラ座、その外部に設置された彫刻、内部を飾る壁画、様々な装飾など、オペラ座(とりわけ、ルペルティエとガルニエ)自体の検証も興味深いが、それだけではない。上演されたバレエやオペラの演目や、オペラ座をテーマ、モチーフとしたマネ、ドガや印象派の画家たちの作品が生成する「場」としての意味も探りたい。オペラ座が登場する文学作品もあり、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』は幾度も映画化され、大ヒット・ミュージカルとなり、ブロードウェイでロングランを続けた。他方、19世紀当時、オペラ座はブルジョワ社会における重要な社交の場でもあった点も忘れてはならない。以上のように、オペラ座の魅力と多様性を総合芸術的、社会文化史的な視野から解明していくのが本ゼミの目的である。多彩な専門の研究者が集まることを期待している。ただし、前半はフランス語の文献を購読し、後半を発表に充てるので、フランス語読解能力は必要である。