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  アリストテレス

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奴隷は生ある所有物である。そして凡て下働人はいわばその他の道具に先きだつ優れた道具といったようなものである。何故ならもし道具がいずれも人に命じられてか、或は人の意を察してか自分の為すべき仕事を完成することが出来るなら、例えば人のいうダイダロス作の彫像や詩人が「ひとりでに神の集いに入り来りぬ」と言っているヘパイストスの三脚架が自ら動くように、梭(ひ)が自ら布を織り琴(キタラー)の撥が自ら弾ずるなら、職人の親方は下働人を必要とせず、また主人は奴隷を必要としないであろう。
アリストテレス著『政治学』山本光雄訳
岩波文庫、38~39頁
 

アリストテレス時代の伝説ではあるが、音楽の演奏が奴隷の仕事の典型例にあげられ、優れた機能を持つ機械があれば、人間は奴隷的な存在から解放される、と述べられている。だれもが機械を用いて好きな音楽を好きな時に聴けるようになった今日、その理想が実現したと言えるのではないだろうか。

H. G.

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