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古代の水オルガンに自動演奏装置が付属していただろうとは容易に想像できるところだが、その証拠は残っていない。9世紀にアラビアのバヌー・ムーサー三兄弟が、シリンダーによって指揮される自動パイプ楽器を発明した。ただしそれはパイプが一本しかなく、その指穴を機械が開け閉めする方式で、いわば「フルート・プレイイング・マシン」と呼ぶ方がふさわしい装置だった。  西欧のもっとも古い自動楽器は、14世紀から現れる、メロディーを自動演奏するカリヨン(組鐘)だったと言ってよい。 最初に自動オルガンを発明したのが誰かは分かっていないが、15世紀半ばのオランダにはすでにその専門製造者がいた[1]。17世紀には自動オルガン製造技術は相当高いレヴェルに達しており、様々な書物でもその紹介が行われている。例えばサロモン・ド・コー著『動力の原因』(1615年出版)には自動オルガンの部品と仕組みの詳しい説明がある。そしてアタナシウス・キルヒャーの『音楽汎論』(1650年出版)には多くの複雑な自動オルガンが紹介されている。

[1] Musical Automata. Catalogue of automatic musical instruments in the National Museum ‘From Musical Clock to Street Organ’, Utrecht 1994, p. 19.

H. G.
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