紡錘はアナンケの女神の膝のなかで回転している。そのひとつひとつの輪の上にはセイレンが乗っていて、いっしょにめぐり運ばれながら、一つの声、一つの高さの音を発していた。前部で八つのこれらの声は、互いに協和し合って、単一の音階を構成している。
他に三人の女神が、等しい間隔をおいて輪になり、それぞれが王座に腰をおろしていた。<中略>その名はラケシス、クロト、アトロポス。セイレンたちの音
楽に合わせて、ラケシスは過ぎ去ったことを、クロトは現在のことを、アトロポスは未来のことを、歌に歌っていた。
プラトン著「国家」藤沢令夫訳『プラトン全集11』 岩波書店、746〜749
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