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プラトンの『国家』には世界全体が一つの音楽機械の様なものとして描かれている

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 天空から光の綱の両端が延びてきているのを見た。というのは、この光はまさしく、天空をしばる綱であったから。それは<中略>回転する天球の全体を締めくくっているのである。
 その端からは、アナンケ(必然)の女神の紡錘が延びているのが見られ、それによってすべての天球が回転するようになっていた。その紡錘の軸棒と鈎(かぎ)とは金剛(こんごう)でできていたが、はずみ車はこれとその他の材料とが混じり合って出来ていた。
<中略>

 

 紡錘はアナンケの女神の膝のなかで回転している。そのひとつひとつの輪の上にはセイレンが乗っていて、いっしょにめぐり運ばれながら、一つの声、一つの高さの音を発していた。前部で八つのこれらの声は、互いに協和し合って、単一の音階を構成している。
 他に三人の女神が、等しい間隔をおいて輪になり、それぞれが王座に腰をおろしていた。<中略>その名はラケシス、クロト、アトロポス。セイレンたちの音 楽に合わせて、ラケシスは過ぎ去ったことを、クロトは現在のことを、アトロポスは未来のことを、歌に歌っていた。

プラトン著「国家」藤沢令夫訳『プラトン全集11』
岩波書店、746〜749

 

この文書に現れる「天体音楽」の考えは、ピュタゴラス学派の思想そのものだと考えられる。

H. G.

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