コース紹介
現在は大きな変化と革新の時代です。学問や大学のありかたもその埒外にあるわけではありません。戦後の新制大学が発足してからほぼ半世紀の後に、大学の大学による自己改革の機運が盛り上がり、東京大学もこの動きのなかで大学院に重点を置く大学として生まれ変わりました。なかでも駒場キャンパスの大学院総合文化研究科はもっとも大胆な組織改革を行ないました。
新制大学において他に例をみないユニークな大学院専攻であった、比較文学比較文化、文化人類学、表象文化論という既存三専攻が合同して、超域文化科学専攻として起ち上がったのもその組織改革の一環でした。旧3専攻は新しい専攻の3コースとして、緩やかな連帯のなかで、領域を越えた文化科学を目指しています。私たちのコースは、この超域文化科学という新しい磁場のなかでゆっくりと自らを変貌させつつあります。
近代日本を対象とする旧専攻の「比較文学」の伝統を保持しつつも、日本研究の範囲を時代的には古代から近代までを包摂し、地域的には欧米のみならずアジア(特に東アジア)に拡大して行こうという「比較日本研究」の試みが最初の動きでした。さらに、文学作品による文化研究のテクスト中心主義を脱し、芸術・思考・儀礼等、文化創造の多様な側面にスポットを当てる研究プロジェクトと教育プログラムが構想されています。
私たちのコースは制度的には、大きく2つの大講座(比較文学比較文化、文化コンプレクシティ)に分かれています。「比較文学比較文化」大講座は、文学・芸術・思想といった文化所産の多様なジャンルを基盤においた5つの研究分野に展開されて、我々のコースの基幹講座となっています。もう一つの「文化コンプレクシティ」大講座は、新しく設置されたもので、多元的・重層的な文化構造体(それを「文化コンプレクシティ」と呼ぶ)のいくつかのカット面を対象とする6つの研究分野から構成されています。またそれに協力講座「比較民族誌」から「比較心性論」が加わっています。
講座の内容
文化コンプレクシティ
専攻分野:多元文化構造論、多元文化協力論、民族社会論、神話と文化、比較モダニティ論、基層文化形成論
比較文学比較文化
専攻分野:比較詩学、ジャンル交渉論、比較形象論、比較ナラトロジー論、比較思考分析
比較民族誌(協力講座)
専攻分野:比較心性論