講演者:Denis Ribouillault(モントリオール大学)
コメンテーター:川本悠紀子(名古屋大学)
司会:松井裕美(東京大学)
概要:トレヴィーゾとヴェネツィアからほど近いマゼールに
あるヴィラ・バルバロは、イタリアでもっとも有名なルネサ
ンス様式のヴィラの一つである。バルバロ兄弟(人文主義者
ダニエレ・バルバロとヴェネツィア共和国の政治家マルク・ア
ントニオ・バルバロ)および建築家アンドレア・パラディオ
と画家パオロ・ヴェルネーゼの協力により生み出されたこの
ヴィラについて、本講演では、なかでも邸宅の主賓室のアー
チ型天井の中央に位置する、ドラゴンに乗る女性像に光を当てる。この神秘的な女性像は、ダニエレ・バルバロの専門で
ある天文学と、マルク・アントニオの妻ジュスティニアナ・
バルバロが体現していた女性の美徳(とりわけ豊穣)という、二つの異なるテーマに関わるものであった。このモチー
フに注目しながら展開するヴィラの装飾の新解釈は、芸術家
たちとパトロンとの協力関係についての理解に資するもので
もある。このことによって、表層的な図像プランの作品を生み出す「装飾画家」としての従来のヴェロネーゼ像とは異な
る側面が明らかになるだろう。
講演会ポスター(PDFファイル)