東京大学比較文学比較文化研究室

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研究室紹介担当教員紹介大学院学部後期課程

比較芸術

〈比較芸術〉とは、かつて美学の一領域で使われた名称だが、
本コースでは主に、文学、美術史学、音楽学のスタッフなどが協力して、
この十年来新しく領域を開拓し、近年めざましい成果をあげている。
〈比較芸術〉では現在主に、「文化の越境」と「ジャンルの越境」の二つの領域が考えられる。

第一の「クロス・エリア研究」(文化の越境)―複数の国籍や文化にわたる芸術研究の中でも、本コースではこれまで「ジャポニスム」研究が蓄積されてきた。これは西洋近代絵画自体の枠組みの変容と他者へのまなざし、影響とオリジナリティの措定、日本美術への逆照射など、芸術の越境の際に生ずる実に様々な問題を提示してきた。また一方では、西洋美術との直接的な関係の中で成熟した日本近代美術についての研究も、今後とも重要な柱となろう。その際いずれも、(西洋)美術史学の専門的知識と方法を身に付けることを第一に考えている。さらに異文化接触や異文化理解に関する議論に通ずることが必要であろう。また文化の越境の現象は、日欧間にとどまるものではなく、今後は東アジアにおける絵画伝統(文人画、写生の問題など)や、近代アジア各国における洋画の展開、その際に媒介者となった日本近代洋画など様々なテーマを、美術史学を土台にしながら、柔軟な視野のもとに研究できる場でもありたいと考えている。

現在は同様のクロス・エリア研究を音楽の領域でも研究できる。明治期音楽が西洋といかに関わり、変容を遂げたのかを専門的に研究する地盤が整っており、方法論的には、文学・美術研究との連携も模索されている。

そして第二の領分「クロス・ジャンル研究」(ジャンルの越境)は、比較文学研究では長らく「諸芸術間交渉」という名称で呼ばれ、特に「文学と絵画」の相関関係が研究されてきた。作家(詩人)でもあり画家でもある人間、芸術家小説、小説の中の絵画、テクストと挿絵、書物という宇宙、総合芸術運動……などそのテーマは多岐に及ぶ。美術史の専門研究でも「イメージとテクスト」に関する研究史は長く、「詩は絵のごとく、絵は詩のごとく」という言葉に集約される人文主義絵画理論、美術批評や画家の手記、絵の中の文字、日本においては絵巻物や絵本などに及ぶ広い範囲で追究されている。本コースではこれらの先行研究をふまえた上で、「文学と絵画/絵画と文学」さらには「文学と写真」そして「ことばと音楽」、「思想史の中の音楽思想」などについての総合的研究の場をめざしている。テーマによっては、文化とジャンルを共に越境する事象を扱っていくことも可能だろう。

比較芸術論の最新の成果については、以下の「書誌」を参照されたい。

なお、〈比較芸術〉の対象は絵画、文学、音楽に限られるものでは当然なく、本コースでも映画、マンガ、ダンス、歌劇などに関する多様なテーマでも論文が提出されており、今後も期待される。その際にも文化/ジャンルの越境は、同様の問題と方法論として意識されている。

本分野に関わる博士課程修了者の主な就職先は、大学教員(語学、比較文学・比較文化、美術史学、芸術学等の担当)および美術館学芸員である。また近年は修士修了後すぐに、文化系財団、新聞社文化事業部、美術企画展示会社等に就職するケースも増えてきた。そのため在学中の語学修得、美術史学的訓練および留学などが奨励されていることは言うまでもない。

〈比較芸術〉関連の院生は、教員の関係する学外の展覧会準備に関わったり、駒場にある美術博物館関係の院生委員会に属して資料室運営に関わる人も多く、学問と実践的経験の双方を積む機会が豊富に用意されている。

書誌
比較文学・比較文化研究書誌

主要授業紹介

  • 19世紀フランスの美術批評とカリカチュア
  • マネ作《フォリー・ベルジェールのバー》の研究
  • 近代フランス美術制度研究
  • 展覧会カタログ ————比較芸術論の視座から
  • 近代日本美術批評研究
  • 写真と異文化表象
  • 作品・分析・理論——芸術研究の方法と意義(音楽を中心に)
  • 「様式」——音楽を中心に
  • 録音された音楽の分析
 
 

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