東京大学比較文学比較文化研究室

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研究室紹介担当教員紹介大学院学部後期課程

比較日本研究

比較日本研究は、比較文学比較文化コースにおいておこなわれる
日本研究の教育プログラムとしてある。ここでめざすのは、端的にいえば、
nationalityにおいて完結するのではない日本研究である。

日本にかかわる伝統的な学(ディシプリン)としては、国文学・国語学・国史学等がある。その「国〜学」の領域は、国民国家の根拠をもとめようとする自国研究として成り立ったのである。現在諸大学の改革がすすむなかで「国〜学」というその名称はほとんど消えたが、そこで作られたものが方法としてはいまだに主流をなすといってよい。比較日本研究はそのディシプリン自体を対象化することをめざすということを含む点で、「日本研究」という名で「国〜学」を総合して再編成しようとするものとは異なる。たとえば、民族社会の神話をもとめようとして、『古事記』『日本書紀』から「日本神話」というフィクションがいかに作り出されたか、あるいは、日本語とともに固有の国民性を育ててきたという擬制とともに、仮名文学を中心とした日本文学史がいかに作りあげられたか──近代における「国〜学」の成り立ちと、その成り立ちが背負わせたさまざまな問題をも対象化しつつ、ひらかれた日本研究をめざすのが、わたしたちの比較日本研究である。

実際の教育においては、伝統的な学の中で培われてきた、文献操作・史料(資料)批判・注釈等の方法的技術を習得し、テクスト理解にそれを生かすことを重視する。新しいテーマの展開は、その上に可能だからである。基礎的技術の習得を重視するのは多数の留学生を迎えていることからもとめられるのでもあるが、他の比較芸術・比較思考・比較文学の教育プログラムに対しては、それは日本に関する必須の基礎学の場という意味をもつ。それが歴史や文学に分かれておこなわれるのではなく連携してなされ、また、シニア課程の学際日本文化論(比較日本文化論)のプログラムともリンクし、漢字文テクストの広がりのなかで中国古典学という基礎学までカバーできるように、幅広くかつ厚く組み立てられているのが、ここでの教育の誇りうる利点である。ここでこそ、日本についての新しいテーマの発見と展開も可能になる。

比較芸術・比較思考・比較文学という隣接する他の教育プログラムの方法とも交差して、日本だけを見てきた研究がもたなかった視野・問題意識を学ぶことができる。

特筆したいのは、基礎学としての方法を共有しながら、その見地が開いてくれる着眼と論証の成果をバネにして、常に外へ向けて発信していくという姿勢である。その意味では、他分野をふくんだ国内外の研究者との連環のなかで、日本研究の新しい領域をひらくという双方向的な関係が築かれつつある点も強調したい。

主要授業紹介

  • 『古事記』を読む
  • 『狭衣物語』を読む
  • 『風葉和歌集』を読む
  • 本居宣長『うひ山ふみ』を読む
  • 『歴代名画記』を読む
  • 東アジアの詩・書・画論を読む
  • 中世における『日本書紀』
  • 中世日本社会と東アジア世界
  • 幕末明治期の「繁昌記モノ」
  • 『米欧回覧実記』はいかにして書かれたか
  • 江戸・東京研究
  • 東アジアの文体と思考
 
 

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