比較文学比較文化研究室

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研究室紹介担当教員紹介大学院学部後期課程

授業内容一覧

平成24/2012年度授業科目一覧

科目名(担当教員) 講義題目・内容

多元文化構造論I
(佐藤光)

「ラフカディオ・ハーンの英文学講義を読む」
ラフカディオ・ハーンが東京帝国大学で行った英文学講義録より、英詩に関する講義を読み、英詩読解の参考とすると同時に、ハーンの英文学観に迫ります。

民俗社会論I
(桜井英治)

「中世日本の社会と文化」
室町時代の皇族・伏見宮貞成親王の日記『看聞日記』の嘉吉元年(1441)条を読む。六代将軍足利義教が暗殺された嘉吉の変に関する詳細な記事がみえるほか、社会・文学・美術・芸能・遊び・衣食住等々に関しても記事が豊富である。この史料から何をつかむかはひとえに銘々の関心次第だが、歴史学・文学・美術 史・文化人類学・民俗学など、さまざまな分野からの受講者を広く期待している。

神話と文化I
(徳盛誠)

「十八世紀日本の「神話と文化」Ⅰ・Ⅱ」
通年で、十八世紀後半の日本を生きた二人の思想家の著作を精読することを通じて、当時の文化的特質と思想動向(夏学期)、そこでの古代日本の神話言説の意義(冬学期)を考える。夏学期は、各地を巡遊しながら、当時の社会を生きぬくための技術を教え、作文法を論じ、中国古典の新解釈を説いた海保青陵(1755-1817)の諸著作をテキストとする。テキストの読解に留意しながら、青陵の思想をたどり、そのテキストが照らし出す当時の文化的な特質をたしかめることを目標とする。

基層文化形成論I
(田村隆)

「『万水一露』の諸本研究」
『万水一露』は能登永閑によって著された『源氏物語』の注釈書である。寛文3年に刊行された板本が広く知られる。伝本の中で国会図書館本は別の系統であることが指摘されるが、近時調査を行った佐賀県立図書館蓮池文庫本もその系統に属すと思われる。この授業では蓮池文庫本をもとに他本と比較しながら『万水一 露』の本文を読み解いていくことで本書の成立過程を探究し、あわせて『源氏物語』の注釈史について知見を深める。また、演習を通して東京大学所蔵の『万水一露』も調査したい。

文化コンプレクシティ演習II
(大石紀一郎)

[夏学期]「ニーチェと〈歴史〉の思想」
〈歴史〉の問題に関するニーチェのテクストを取り上げて読み、彼の歴史主義批判の位相を探る。

[冬学期]「ニーチェ解釈の諸問題」
ニーチェのテクストをドイツ語で読みながら、彼の思想を解釈する上での課題を考えていく。とくに中期以降のアフォリズム的文体で書かれたテクストをとりあげて、思想の展開と文体の関係にも注目する。

文化コンプレクシティ演習IV
(梶谷真司)

[夏学期]「現実の多元性についての現象学的研究」
知や現実の多元性や多層性について、正・不正、善・悪、適・不適などの妥当性、成立構造を考察していく。そのさいヘルマン・シュミッツの現象学理論を手掛かりにする。

[冬学期]「規範の多元性・多層性に関する考察」
私たちの現実の中にある規範の多元的・多層的構造について、様々なテーマ・素材に即して考える。一方で理論的な考察を進めつつ、比較文化的視点から理解を深めていく。

文化コンプレクシティ演習VI
(BOCCELLARI JOHN JAMES)

「比較文化」の観点から、アメリカ文学を通してアメリカの文化と社会のあり方を考える。

比較詩学I
(菅原克也)

[夏学期]「物語論(Narratology)」
「語り」のありかたを理論的に考察する「物語論](Narratology)について学び、実際に小説のテクスト等を物語論的アプローチから分析できる態度を養う。具体的に、Monika Fludernik, An Introduction to Narratology を詳細に読み解きながら、内容の理解につとめ、補足、討議を行う。Monika Fludernik, An Introduction to Narratology, London: Routledge, 2009.

[冬学期]「萩原朔太郎『月に吠える』を読む」
萩原朔太郎『月に吠える』に収められた詩を、先行研究等を参照しながら、細やかに読む。今学期は、「さびしい情欲」「見知らぬ犬」に収められた詩編を取りあげる。文学研究に求められる手続きを守りながら、言葉やイメージの細部にこだわりつつテクストを精読する態度を身につける。『萩原朔太郎詩集』(岩波文庫)

ジャンル交渉論I
(ロバートキャンベル)

「江戸期漢文小説読解」
近世後期に津(現在・三重県津市)で出版された漢文小説『訳準笑話』を昨年に引き続き読解する。著者津阪東陽は津藩の藩儒(藩のお抱え儒者)で、執筆当時、藩校の創設に関わっていた事物である。武家子弟の作文教育を念頭に書かれたと思われる本書は、安永期前後の日本の咄本(はなしぼん)と、漢籍から多くの典拠を採りながら、独自のスタイルで滑稽な話を短い漢文に仕立て直している。演習で履修生は担当箇所を決め、順番に書き下し、語注(言葉、事柄の註釈)、現代語訳を用意して順々に発表する。

比較形象論I
(今橋映子)

「森鴎外と美術」
今年は森鴎外生誕150周年にあたり、11月には文京区千駄木に(全面改修された)森鴎外記念館が開館する。森鴎外は、生涯にわたって実に多様な側面から、明治大正期の「美術」に関わった作家であった。それは同時代画家たちを援護する批評、画家や美術を題材とする小説から、美術行政への参与に至るまで実に様々な側面をもっている。本授業は、近年次々と明らかにされてきている「鴎外と美術」について概観した上で、関係する画家の作品、鴎外自身の小説や美術批評作品、鴎外が関わった美術事業の現場などを、丁寧に読み込んでいくことを目的とする。とりわけ、鴎外のテクストを精緻に読み返す作業を重視する。その際同時に、鴎外研究、近代日本美術史、比較芸術論における最前線の研究成果を分析することにも力を注ぐ予定である。なおこの授業では、上記森鴎外記念館の見学を実施し、授業でも同館での展覧会や図書館を活用する予定である。また、「文学と美術」関連の多くの展覧会カタログが収められている駒場キャンパス美術博物館資料室も、実際に使って授業する。

比較ナラトロジーI
(寺田寅彦)

[夏学期]「教科書で語られること」
教科書とは単なる教材であると同時に、そこで伝達されるべき知識と異質の語られる「物語」の集積である。それは文からも図からも、あるいは「書」の形式からもさまざまに論じられるべきものである。本講義では各国の教科書を用いて、さまざまな科目において考えられる教科書の「語り」を考察する。

[冬学期]”Littérature et architecture au XIXe siècle - 2 “
Objectif / Vue d’ensemble du cours : Quel rapport existe-t-il entre la littérature et l’architecture ? Celle-ci fascine souvent celle-là (et vice versa). Le discours du commentaire théorique sur la littérature, par exemple, n’est rien moins que le lieu d’une métaphore filée tissée des mots tels que : « construction », « structure », « édifiant », « monumental »… A part cette intimité métaphorique, nous ne pouvons ignorer le lien qui noue la narrativité et l’architecture car le texte littéraire est un « espace d’un récit » à la fois statique et dynamique. Nous allons aborder ces sujets au travers de la lecture et de la traduction de "L’Exposition" de Philippe HAMON (Librairie José Corti, 1989). En effet, l’« exposition » est un moment privilégié où convergent toutes les caractéristiques des œuvres littéraires du XIXe siècle. Nous allons ainsi examiner la représentation littéraire en nous appuyant sur un phénomène social et artistique.  
Philippe HAMON, "L’Exposition", Librairie José Corti, 1989 (photocopies)

比較思考分析I
(野矢茂樹)

「現代行為論」
ドナルド・デイヴィドソンの「行為・理由・原因」を読解し、検討する。
『自由と行為の哲学』(春秋社、門脇俊介・野矢茂樹監修)

比較文学比較文化演習I
(齋藤希史)

「東アジアの文体と思考」
東アジアにおける文体と思考の空間は、中国古典文というシステム、あるいは漢文脈によって、一つのゆるやかな圏域を為していた。近代以降、西洋文化の急激な摂取とともに、その圏域はそれぞれの近代文化システムへと再編されていく。この授業では、その前後において東アジアのエクリチュールに大きな変容があったことを前提としつつ、かつその連続性にも着目して、東アジアにおける文体と思考について検討することを目標する。今期は、西洋世界との比較、また、西洋からの研究にも力点を置く。

比較文学比較文化演習II
(Hermann Gottschewski)

「音楽文化と音楽雑誌(1)(2)」
ヨーロッパの十八世紀以降、北アメリカの十九世紀以降、日本の明治期以降、音楽雑誌は音楽文化の中に重要な役割を果たしてきた。音楽文化の出来事や変化が 雑誌に反映されているのみならず、雑誌自体が音楽文化の一つの現象であり、音楽文化に多大な影響を及ぼした。音楽研究に雑誌記事が歴史資料として研究対象となるのは当然のことで、特定のテーマに関する記事が資料集として出版されていることもある。しかしこの授業ではもとの雑誌から切り離された記事ではなく、その雑誌自体を文化現象として観察したいと思う。雑誌がどの様に出来たのか。だれによって編集され、どの様な業者に支えられ、だれに読まれ、そしてど の様に変化し、他のどの雑誌と競争したのか。
音楽雑誌には評論等の文字記事を中心とするものは多くあるが、楽譜が添えられている、あるいは楽譜の出版を中心とする雑誌も多くある。週刊雑誌、月刊雑誌など、地方色の強い者と広く普及していたもの、一般向けの趣味雑誌、特定のグループ(例えば合唱 団、教会音楽家など)を対象とする雑誌、学問的な雑誌など、種類が多種多様である。この授業では学生の興味にも応じて様々の国と時代の音楽雑誌文化を研究し、これからそれぞれのテーマの研究に役立たせたいと思う。

比較文学比較文化演習III
(三浦篤)

「印象派展以後の印象派」
1880年代以降の印象派の画家たちの作品と受容について包括的に調査研究する。広い意味におけるポスト印象派の時代は、画商=批評家システムによって印象派の主要画家たちの作品が蒐集、評価される時期に当たる。彼らの後半生の活動とその芸術の方向性をまず確認し、次いで「印象派の行方」展の見学と関連セ ミナーでその認識を深めるとともに、次世代の画家たちによる印象派受容の諸相を検討する。最後に、印象派絵画のコレクション形成と各国への伝播について探るとともに、20世紀における印象派絵画の意義を再検討する。

比較文学比較文化演習IV
(伊藤徳也)

「近現代中国における頽廃形式を検討する:1980年代以降の社会文化形式を中心に(1)(2)」
昨年度は、小説から映画への改編事例を検討することによって、ナラトロジーの観点を養成する演習を行なったが、今年度は、文芸作品や社会文化事象のデカダンス(「頽廃」)を形式的に分析する観点の養成を図る。1920年代以来の中国の近代的な審美主義の流れを意識しながら、素材としては主に、1980年代以降の中国の文化史の中の具体的な事例を取り上げる予定。冬学期は、夏学期での討議を展開あるいは深化させる予定だが、冬学期のみの履修も歓迎する。

比較文学比較文化演習V
(古荘真敬)

「ハイデガーの自然論を読む」
「自ずから立ち現れることにおいて、同時に自らを秘匿する顕現」といった事態を意味するものと解釈される「原初的な意味におけるピュシス(自然)」は、「存在の真理」をめぐる中期以降のハイデガーの思索において、まぎれもなく決定的な役割を果たした最重要概念の一つであると言えるだろう。この授業では、「ピュシス」概念をめぐる彼の思索の展開をたどり、批判的に検討しながら、「自然」なるものについてのわたしたち自身の考察を深めていきたい。折に触れて、スピノザ、シェリング、ベルクソン、メルロ=ポンティ、アンリ等の哲学者における自然理解との比較対照も試みたいと考えている。

超域文化科学特別講義II
(金子明雄)

「メディア環境から見た日本近代文学史」
明治中期から大正期にかけての日本近代文学の流れを、その背景となるメディア環境の変化に留意しつつ、具体的な作品の分析と関連させて理解することを目標とする。

超域文化科学特別講義II
(金沢百枝)

「中世キリスト教美術再考」
この講義は、近年の研究動向をふまえて、中世のキリスト教美術についての従来の説を問い直す試みです。とくに、ヨーロッパ社会の揺籃期とされるロ マネスク期(11世紀から12世紀)に焦点をあてますが、古代ローマの再生、その受容、そして変容を、多角的な視野から眺めるつもりです。例えば紀元千年前後、宗教運動の興隆と相俟って広がった「キリスト教世界」が、古代ローマを継承・模倣し、ケルト・ゲルマンの習俗を取り入れ、イスラームやビザンティンの高い文化の影響を受けつつ発展し、「ロマネスク」という「共通様式」を産んだという説。あるいは、パノフスキーの『スコラ哲学とゴシック建築』に代表されるように、ゴシック期をその転換点とする歴史観。また、中世美術の評価は、19世紀ヨーロッパのナショナリズムの勃興と関連していたこと。こうした中世美術をめぐる緒論を再考しつつ、美術史研究における「テーマ設定」の仕方や文献操作等について学びます。

超域文化科学特別講義II
(王中チン、エリス俊子)

「近代日本と中国における文学の越境と知的生産の連鎖」
1920年代から1930年代まで、そして戦後初期における日本と中国との文学・文化の関係を中心に、越境、移動、帝国主義、マルクス主義、ナショナリズム、脱植民地化などの視点から比較的考察を行い、三段階を分けて授業を行いたいと考えている。授業では取り上げるテーマについて議論しながら、それに関連するテクストを解読する。

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