比較文学比較文化研究室

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研究室紹介担当教員紹介大学院学部後期課程

授業内容一覧

平成26/2014年度授業科目一覧

科目名(担当教員) 講義題目・内容

多元文化構造論I
(前島志保)

[夏学期]「比較文学比較文化研究入門」
フランスで始まり様々な地域で展開していった近代的文学研究としての比較文学は、日本では早くから精緻な翻訳研究や比較文化研究に発展していくなど、独自 の展開を遂げてきた。本講では、日本における比較文学比較文化研究の主要論考のうち駒場に縁の深い研究者によるものをとりあげ、批判的かつ生産的に読みな がら、様々な研究手法の特徴を学ぶ。今回は基本的な手法を中心に概観する予定。

[冬学期]「近代日本の出版文化:定期刊行物を中心に」
19世紀後半から20世紀前半にかけて世界各地で進行した出版・読書文化の大衆化は、コミュニケーションのあり方を変え、近代における様々な言説の形成に寄与した。本講では、主に20世紀半ばまでの定期刊行物(新聞、雑誌)に焦点を当て先行研究にあたりつつ、近代日本の出版文化の流れを概観する。今回は特に関西と関東の出版文化の差異を意識しながら、従来の研究の傾向および近代日本の出版・読書文化の特徴について考察していきたい。

多元文化協力論I
(佐藤光)

[夏学期]「山宮允編訳『ブレーク選集』を読む」
山宮允編訳『ブレーク選集』(アルス、1922)から「無心の歌」と「知見の歌」を読みながら、ブレイクの原詩がどのように日本語に置き換えられたのかを検証する。検討対象は山宮の訳詩だが、ブレイクの英詩を意識しながら読んでほしい。第一回の授業時に担当者の割り振りを行う。

[冬学期]「大正期の「民衆」と芸術を考える」
大正デモクラシーの思潮の中から「民衆」の芸術参加というテーマが登場する。この授業では、本間久雄、大杉栄から始めて、宮沢賢治、柳宗悦も視野に入れつつ、当時発表された「民衆」と芸術に関する論考を調査する。ウィリアム・モリス、クロポトキンに話題が広がることが予想される。

民俗社会論I
(渡辺美季)

「近世琉球と中国・日本」
近世期(1609-1879年)の琉球は、中国・日本と二重の君臣関係を有しながら、そのどちらにも包摂されずに王国を維持した。この授業では、近世琉球と諸外国(特に中国・日本)との関係に関わる文献や史料を講読し、琉球および琉球と関わる国や地域を比較し、近世東アジアにおける国・通交・境界・秩序等について議論と考察を深めることを目的とする。なお今年度は諸外国(特に日本)が琉球をどのような存在として認識していたのかという点について重点的に検討する予定である。

神話と文化I
(徳盛誠)

[夏学期]「一条兼良『日本書紀纂疏』を読む」
一条兼良『日本書紀纂疏』の読解を試み、それを通して『日本書紀』理解のありかたを考える。

[冬学期]「日本研究入門一歩手前」
この演習では、日本の文学や思想を研究する態勢づくりとして、毎回、短いテクストを題材に、そこで何がどのように語られているかを解釈し、問い、討議する。
テクストを深く読み込んでいく技量を参加者相互が切磋琢磨することを目標とする。同時に、文献調査の基礎的なやり方なども確認したい。
毎回担当者を決め、報告してもらう。演習の詳しい進め方については開講時に説明する。
留学生を念頭に置いた演習だが、それ以外の学生の参加も歓迎する。

基層文化形成論I
(田村隆)

[夏学期]「本文批判をめぐる諸問題」
古典の多くは作者自筆本は残らず、後代の写本によって読み継がれる。『源氏物語』の大島本は室町時代の書写であるし、『枕草子』の陽明文庫本も同じく室町時代まで下る書写である。それは、漱石自筆本や鴎外自筆本が残る近代の作品とは大きく異なる点と言える。この授業では古典における「本文(テキスト)」の問題を扱う。
はじめに、『源氏物語』を題材にいくつかの事例を紹介する。その後、演習形式により受講生が自らの研究する作品に即して本文批判を実践し、その発表に基づいて全員で議論する。

文化コンプレクシティ演習I
(大石紀一郎)

[夏学期]「『ニーチェ以後』の歴史・学問について」
ニーチェの歴史主義批判の思想史的な特徴を考察するとともに、それ以後の文化科学的研究についての反省的な議論を見ていくことにしたい。

[冬学期]「ニーチェのアフォリズムを読む」
ニーチェのアフォリズムをドイツ語のテクストで読み、思想の展開と文体・表現との関連にも注目して参加者とともに解釈する。

文化コンプレクシティ演習IV
(梶谷真司)

「規範に関する歴史哲学的研究」
「規範」について、哲学、社会学、歴史学など、多面的に考察する。

文化コンプレクシティ演習Ⅴ
(斉藤渉)

[夏学期]「サールのフィクション理論」 ジョン・R・サールの「フィクションの論理的身分(The logical status of fictional discourse)」を中心に、虚構的言説の理論的記述という問題を考える。言語行為論の枠組みを踏まえつつ、サールに対してなされた批判(ジュネット、デリダなど)を検討していく。

[冬学期]「ハーバーマス『公共性の構造転換』を読む」 ユルゲン・ハーバーマス『公共性の構造転換』(原著初版1962年、新版1990年)を精読する。原則として各章を2回の授業で読んでいく。本書前半(第2章・第3章)は、17-18世紀の西欧近代における「市民的公共性」の成立とその構造機能分析にあてられている。ハーバーマスの公共性論を理解するためにはもちろん前半の理解が不可欠だが、タイトルにいう「構造転換」は本書の後半(第5章・第6章)ではじめて論じられており、全体の通読が必要である。

文化コンプレクシティ演習V
(桜井英治)

「中世日本の社会と文化」
室町時代の皇族・伏見宮貞成親王の日記『看聞日記』の嘉吉元年(1441)条を読む。六代将軍足利義教が暗殺された嘉吉の変に関する詳細な記事がみえるほか、社会・文学・美術・芸能・遊び・衣食住等々に関しても記事が豊富である。この史料から何をつかむかはひとえに銘々の関心次第だが、歴史学・文学・美術史・文化人類学・民俗学など、さまざまな分野からの受講者を広く期待している(ただしテキストに関しては受講者との相談により変更することもありうる)。

比較詩学I
(菅原克也)

[夏学期]「永井荷風研究」
アメリカ体験、フランス体験を経た「帰朝後」の永井荷風の文学的経歴をたどりつつ、主要作品を読む。

[冬学期]「日本の近代小説を読む」
大正期の日本の近代小説(短編)を材料にして、小説の読み方を考える。

ジャンル交渉論I
(ロバート キャンベル)

「明治期風俗文芸とジャーナリズム」
明治政府は1872年(明治5年)に火事で焼けた銀座一帯を区画整理し、西洋式の煉瓦街として再開発させた。いわゆる銀座煉瓦街の出現である。以後、銀座は活字メディアの本拠地であり舶来製品の発信地として文明開化を支え、またそれを具現化する都市機能を強めていく。今回の演習では銀座という新名所の実態と表象を1882年(明治15年)に出版された『東京/銀街小誌』という漢文で書かれた風俗誌を精読することで検証したい。
『東京/銀街小誌』(1冊)は新聞記者であった関梅痴(謙之、槎盆子)が書いたもので、江戸後期の『江戸繁昌記』につながるいわゆる繁昌記モノの体裁をとっている。漢文で書かれた本文は訓点と送り仮名、左訓(漢語の言い換え)をふんだんに施している。成島柳北序、南橋散史題、図入、詩集「銀街竹枝」を付す。テクストはキャンベル架蔵本を用いる。

比較形象論I
(今橋映子)

「芸術と政治――読みの戦略の確立に向けて」
今年度は夏・冬学期の1年間を通じて、上記テーマに取り組む。「芸術と政治」は基本的に、何か一つの話題に限定されるものでなく、例えば、芸術家と同時代政治状況、テクストの政治学、文壇や画壇と〈政治〉、政治小説や歴史画など、参加者の研究テーマや関心に応じて多彩に展開しうるものであろう。ただし授業が拡散しかねない状況を回避するため、今年度は「芸術と政治」を人文研究で扱う方法の根底に、テクスト(文字、映像)をいかに読むかという戦略を考究する。

夏学期には共通テーマ、冬学期には自由テーマで、以下のように進行させることとする。
[夏学期]「大逆事件をめぐる文学表現を読む」
共通テクスト2冊(別記参照)は、日本近代における一大冤罪事件――大逆事件(1910年)をめぐる文学および思想テクストをきわめて精緻な思考で編んだ、優れたアンソロジーである。これを用いて、言論抑圧の時代に、それに抗して様々に複雑なテクストを書いた作家たちを如何に読み解くべきであるか、徹底的な読解と議論を施したい。参加者には、大逆事件についての予備知識は、基本必要とされない。

[冬学期]「自由テーマによる発表」
夏学期に全員で検討したテクスト分析方法を応用し、発表者各自が抱えるテーマについて、発表及び討論をおこなう。
比較ナラトロジーI
(寺田寅彦)

[冬学期]「Haussmannisation et littérature」
Objectif / Vue d’ensemble du cours : Au milieu du XIXe siècle, la ville de Paris a connu une transformation profonde au niveau morphologique et fonctionnel : l'haussmannisation. Réputées comme étroites et sombres, insalubres voire dangereuses, les rues de la capitale française gardaient encore, au début de ce siècle, un aspect moyenâgeux. D’énormes travaux urbains ont été alors entrepris par un certain Georges Eugène Haussmann, le préfet de la Seine. « Paris embellie, Paris agrandie, Paris assainie » : voici l’objectif de cette tentative colossale qui métamorphosera bientôt non seulement Lutèce mais aussi de nombreuses villes françaises voire européennes. Nous allons donc aborder cette méthode d’urbanisme au travers de la lecture et de la traduction des Mémoires du Baron Haussmann, le mentor des travaux monumentaux. Épaisse comme un pavé, cette autobiographie ne peut être entièrement traitée en un seul semestre ; nous nous intéresserons surtout à quelques chapitres sur les opérations de voirie. Cette lecture nous permettra également d’approfondir l’analyse de quelques œuvres littéraires de l’époque. Ainsi parcourrons-nous l’essentiel de la vision haussmannienne afin de mieux comprendre la société et la littérature françaises.

比較思考分析I
(野矢茂樹)
「知覚と感覚」
他者の問題を見据えつつ、知覚と感覚における眺望論と相貌論を検討する。
比較文学比較文化演習I
(齋藤希史)

[冬学期]「東アジア文学理論研究」
東アジアの詩文論・藝術論、文字論について原典を精読し、東アジアにおける詩文・絵画等の機能について考える。東アジアにおいて詩と文と書と画とは相互に連携しながら展開していったことを理解しつつ、受講生それぞれの立場から、それらを複層的に捉える視点を得ることを目標とする。

比較文学比較文化演習II
(Hermann Gottschewski)

「詩と音楽」
アウグスティヌスの音楽論("De Musica")を読むと音楽のほとんど全ての問題が詩の例で説明されている。それは音楽理論史にもまれな極端な例ではあるが、そこから現在の音楽教育でよく忘れられる根本的なことを学ぶことができる。つまり詩人が詩を作って、作曲家がそれを作曲して「歌曲」(または「アリア」、「合唱曲」、「唱歌」、「賛美歌」、「ソング」など)が創作される場合には、音楽の創作に関わっているのは作曲家だけではない、ということである。詩人も音楽創作の一部を担っている、ということである。詩にはすでにリズム、声の抑揚等があるから、作曲されていない詩の音楽的な分析も可能だ、ということである。
この授業では詩に暗示されている音楽と実際に作曲されている音楽の相互関係を考え、それを特にさまざまな言語圏の比較という立場から分析したいと考えている。例えばヨーロッパ諸言語の韻律の特徴とそれぞれの歌曲の伝統と具体的な作品分析、日本語の五七調、七五調、近代詩文などの音楽的な特徴とその伝統的な・近代的な歌い方、そして歌曲を翻訳する場合の諸問題を授業で扱いたいと考えている。

比較文学比較文化演習III
(三浦篤)
[夏学期]「マネの作品をめぐる分析と解釈」
古典と近代の境界に位置するマネの作品はきわめて幅広い分析が可能である。作品を研究するための手法としては、作品データや原資料の調査、先行研究の把握と検討、細部にまでわたる詳細な造形分析、他の作品やイメージ資料との比較分析、文化や社会との関連性の解析等々、さまざまな視点や方法が存在する。マネの作品はあらゆる解釈を許容しうる豊かさや多義性を備えているので、美術作品の分析法を学ぶためには最適の例となるであろう。

比較文学比較文化演習IV
(伊藤徳也)

「周作人の比較日本文化論を読む」
周作人(1885-1967)の比較日本文化論を精読する。周作人の文章は「紙に書いた談話」として絶妙な形式に単純化されている。この授業で求めたいのは、もちろん、単純なその氷山の一角を理解することだけではない。水面下に沈んでいる、より大きな部分を理解するよう心がけてほしい。そのためには、背景となった執筆当時の日本社会の状況や中国社会の状況を掘り起こすことも必要になるはずである。また、彼の美学を理解することも必要である。事前に『「生活の芸術」と周作人-中国のデカダンス=モダニティ』(勉誠出版)を読んでおいてほしい。

比較文学比較文化演習V
(古荘真敬)

「感情と言語(ハイデガーを読む)」
いわゆる「情態性(Befindlichkeit)」や「根本気分(Grundstimmung)」をめぐるハイデガーの考察が、彼のロゴス論・言語論とどのように連関しているのか、いくつかのテクストを分析しながら、考察していきたい。

超域文化科学特別講義II
(堀川貴司)

[冬学期]「日本漢文学研究資料概観」
古代から近代に至るまで、日本において作られてきた漢文学作品について、作品や作者を研究するための資料を紹介する。作品そのものが記されている書物や断簡・筆跡などはもちろんのこと、作者の伝記資料となる書簡・文書なども含め、さまざまな一次資料に直接触れ、それぞれの特性や調査方法を知り、自らの研究に活用できるようになることが目標である。

超域文化科学特殊研究IV
(井上健)
[夏学期]「在野」のアメリカ文学史の研究
外国文学・文化の研究ことにアメリカ文学・文化研究においては、アカデミズムと競奏、あるいは協奏しつつ、「在野」からの磁力が持続的に作用してきた。翻訳家、映画関係者など「在野」の人材が、アメリカ文学・文化の紹介にきわめて重要な役割を果たし続けてきたのである。本講義においてはまず、戦前の「在野」の「アメリカ文学者」の訳業を、その前史を踏まえて紹介する。続いて、昭和戦前期における、「在野」の書き手によってなされたアメリカ文学・文化紹介の流れを、アメリカ文学者の業績と対比させつつたどる。その上で、戦前からあった「在野」対アカデミズムの図式が、占領期を経て、1950年代日本にいかに引き継がれ、変容して行ったのかを、映画とのクロスジャンル研究も絡めて考察してみたい。1920年代から30年代にかけてのアメリカン・ミステリが、日本の大衆文学の展開に及ぼした圧倒的な影響についても、以上の視点から再検証してみるつもりである。

[冬学期]翻訳文学研究と世界文学全集
外国文学が翻訳されれば、それがただちに翻訳文学と化すわけではない。翻訳文学という語感には、「文学」として読まれた海外文学が、日本の文学・文化、日本語表現に確かな波動を及ぼして、時にそれらの流れや構造を変えるような影響力を発揮することへの予感や期待が含まれているだろう。本講義においては、大正初期以来の百年の日本近代文学の流れを、翻訳文学に焦点を据えて比較文学比較文化研究の視点から再検証するとともに、ゲーテに起源を持つ「世界文学」の概念がいかなる批評基準として機能し、翻訳文学のキャノンを生成して、日本近代文学の展開にいかに関与してきたかを、円本ブームから1960年代の中央公論社版《世界の文学》、《新集 世界の文学》に至る、世界文学全集編成の歴史をたどることによって浮かび上がらせてみたい。

超域文化科学特殊演習II
(Hermann Gottschewski)
[Winter Semester] "Listening People — Listening Peoples. East Asian Graduate Exchange Seminar in Musicology"

This seminar will be held together with invited graduate students from Korea, Taiwan and Hongkong.
The seminar will focus on all kinds of music, including Western classical and modern music, Asian traditional music, ethnic music, popular music and functional music (or even sound which is not normally classified as music, if it is “listened” to) from the viewpoint of the listener as one of the important agents in any cultural environment. “Listeners” may include musicians listening to their own music, critics writing about music they have listened to, concert audiences and listeners to music in any other kind of events that include musical performance, individuals listening to musical media, people forced to listen to a certain music a.s.o. Students are especially encouraged to write a paper referring to one of the following topics:
– Listening to sound and music in historical and social contexts
– Cultures of listening
– Openness to new and old sounds
– Listening together and listening alone
– Listening as a creative process
If you have an interesting proposal with another focus that fits to the general theme, however, please feel free to deviate from these five topics. Topics that are specifically relevant for the exchange between Asian students of different countries (e.g. focusing on Asian music cultures, specifically Asian views on music, Asian research traditions or the future of music research in Asia) are welcome, although not a necessary condition for participation in the seminar.

超域文化科学特別講義III
(陳岡めぐみ)
[冬学期]「近代フランスの展覧会制度」
巨大な動員数を誇る大型展覧会が毎年のように各国の主要都市で開かれる一方、その商業化を危ぶむ声も絶えない。しかしそもそも美術展は誰によって誰のためにどのような目的と方法で開かれてきたのか。本演習では、展覧会の形式が大きな発展を遂げた19世紀フランスに立ち戻って、歴史的な視点からこの美術制度の機能と意義を再検討する。

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